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ソシャティ|社会活動の検索&ブログサービス

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  • #1569
  • 2021.08.13

舞台を作り、時に潤滑剤となって市民活動を支える 〜安曇野市役所市民活動サポートセンター 藤原 亜沙美さんへのインタビュー〜

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市民活動に魅力を感じ、自ら志願して市民活動サポートセンターに異動した藤原さん。異動直後から市民活動団体と積極的に対話し、声を吸い上げ、各団体をつなぎ、各活動の認知度を高める場を創る、行政だからこそできるコーディネーターとしての強みを最大限に生かして、市民活動が元気な街づくりを目指す藤原さんに、市民活動への想いと取り組みをお聞きしました。

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    【この記事のポイント】

  • 地元である安曇野市が好きで、中でも市民の手による街づくりに惹かれ、安曇野市役所市民協働サポートセンターへ自ら異動
  • 市民活動団体との対話の場の設置、団体と当センターとの協働でのイベント運営など、市民と一体となって協働の場づくりを通して、市民活動の活性化に取り組む
  • 対話を重視するあまり、当センターとして消極的に見える関わりになってしまったことが課題
  • 当センターのスタンスの明確化、市民活動の将来ビジョンの具体化がこれからの課題

市民活動の魅力に惹かれて市民活動サポートセンターへ

− 市民活動サポートセンターに異動した経緯を教えてください

私は安曇野市育ちでこの街がとても好きです。小さい頃に地元で参加した公民館主催の催しで、様々な人たちとの関わりを通して経験した楽しさを、子どもやその他の世代にももっと伝えていきたい、という思いから行政の仕事を選びました。

大学時代の卒業論文では、サッカークラブ「松本山雅」の拠点がある松本市神林地区の区民の有志が作った「山雅の会」取り組みを研究しました。スポーツクラブの拠点の街では交通渋滞が頻繁に起きるなどで、拠点の街であってもクラブを応援する空気感が醸成されない街もある中、この市民団体は区の役員、行政、松本山雅に積極的に働きかけ、運動会などのイベントや官報への広報活動を通して地区全体として松本山雅を応援する空気を作り上げていました。

これらの経験を通して、街づくりは行政だけが担うものでは無いこと、そして市民活動には街の魅力を創る確かな力があることを知り、大好きな安曇野市を市民活動で盛り上げたいとの思いから、入庁3年目の異動のタイミングで市民活動サポートセンターを志願させていただきました。

市民活動団体との対話を重視して市民活動の活性化を目指す

− 異動後に取り組んだことは何ですか?

市民活動サポートセンターの運営です。当センターは市民活動の情報が集約された情報基地のほか、相談窓口や他団体との交流、スキルアップ支援などを行なっています。元々安曇野市では「わの会」という市民活動団体自身の運営母体があり、「くるりん広場」という場所で同機能を担っていました。紆余曲折あり、その取り組みを行政として引き継いだのが当センターです。異動した直前に「くるりん広場」から市役所本庁舎に機能を移したため、まずは運営の形を創ることから取り掛かりました。

くるりん広場時代からも実施している、活動をより多くの市民に知っていただくための市民活動フェスタを企画するにあたり、行政側が一方的に決めるのではなく、まずは市民活動団体側の意見を聞きたいと、当時から活動されていた市民活動サポーターの方々にお集まりいただき、ご意見を伺いました。

そこで頂いたご意見から、それまで市民活動団体として登録していた団体のみ参加していたフェスタを、“広く市民活動を知ってもらう”という目的に照らして、登録していない団体や社協ボランティアセンター、市区長会といった組織にまで広げることに決まりました。市民活動フェスタの開催により従来よりも10団体増え、58団体という多くの団体に参加いただき、盛況に開催することができました。

その後開いた反省会で、フェスタのような1年に1回のイベントではなく、定期的に集まれるイベントがあれば良いな、という声が上がり、「ゆるつな」(ゆるくつながる)といった市民活動の交流のイベントを月1回実施することになりました。

そこでわかったことは、「餅は餅屋」の言葉の通り、経験のある方々と一度対話するということが大切だということです。行政側の人間は2名程度に対して、市民活動サポーターはもっと多くおられるだけでなく、経験も豊富です。行政側で考えることには限界があるため、これからもサポーターの方々との対話を通して協働で進めていく大切さを学びました。

しかしそこでも新しい課題にぶち当たります。2回目の市民活動フェスタの企画検討の際、企画の内容は市民活動サポーターの方を中心に考えていただこうと考えていましたが、「市民活動サポートセンターの主催イベントであるのにセンターが主体的に関わらないのはどうなのか。」とのご指摘をいただきました。対話が重要と考えていましたが、対話の中における自分のスタンス、さらには当センターとして市民活動の将来の姿を描くことがより重要であることを認識させていただきました。

まだまだ至らない点がありますが、想いは市民活動でこの街を元気にすることです。挑戦と反省を繰り返しながら、各団体が活躍できる舞台を整備し、時に潤滑剤となって各団体をつなぎ、さらにより多くの市民の方々ともつないでいく、コーディネータとしての役割を認識しながら、市民活動サポートセンターとして主体的に関わっていきたいと思います。

【インタビュアーより】 入庁間もない中で自ら志願して市民活動支援業務に就いた藤原さん。市民活動団体と市民をつなぐコーディネーターとしての役割は、社会課題の認知度向上と解決促進に欠かせません。行政と市民が一体となってより良い街づくりを目指す、まさに“協働”を体言する取り組みに奮闘する藤原さんは、多くの方の共感を得ることでしょう。私も安曇野市民として、心から応援しています。 (2021.7.27 (株)ウィライ 浅田)

キーワード

#市民活動 #コーディネーター #行政 #安曇野市 #市民活動サポートセンター

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