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  • #1340
  • 2021.05.14

シニアの社会参加に向けた意識・人・仲間づくりを支えるコーディネート力〜長寿社会開発センター 主任シニア活動推進コーディネーター 戸田さんへのインタビュー〜

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3人に1人が高齢者という超高齢化社会が目前に迫る中、とりわけ長寿県の長野県において、シニアの社会参加の支援に取り組む長野県長寿社会開発センター(https://nicesenior.or.jp/)。「コーディネート力はおばちゃん力」と意気込むコーディネーターの戸田さんに、シニアの学びと社会参加を支える環境づくりに欠かせないコーディネーションの秘訣を語っていただきました

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    【この記事のポイント】

  • 長野県長寿社会開発センターはシニアの“意識づくり”・“人づくり”・“仲間づくり”とその環境を“コーディネートする仕組みづくり”に取り組んでいる
  • コーディネートの重要なポイントは、関係する方々の時々のニーズを把握し、両者を対等につなぐ地道で丁寧な活動
  • 各団体のニーズに対して短絡的にシニアを斡旋する事はしない
  • シニアが自発的に選択できる環境を整備するのが長野県長寿社会開発センターのミッション
  • 目指す社会は「寝たりきりになってもハンディがあっても、全てのシニアの居場所と出番がある豊かな二毛作社会を創ること」
  • 団体活動への参加を促進するためには、活動に参加してくれたことへの感謝に加えて要望をやんわりと伝えることが大事=「おばちゃん力」

意識の変化、仲間を創る、その環境を創る

− 長野県長寿社会開発センターについて教えてください。

当センターは、県の外郭団体として県内の地域振興局毎に10支部が設置され、公益財団という位置付けで行政とは異なる立場からシニアの社会参加を推進しています。具体的な活動は4点です。

社会活動に取り組む方々と出会う場面やシニアを知ってもらう場面を創ることでシニアの社会参加意識を醸成する“意識づくり”、シニア大学にて社会参加の具体化に取り組む人を育てる“人づくり”、人と人の関係を深化させる“仲間づくり”“、そして活動したいシニアと地域と多様な団体との出会いの場を作る“コーディネートの仕組みづくり”に取り組んでいます。(写真は2019年当時のものです)

□ “意識づくり”について

県内の10支部にて、年1回「タウンミーティング」を開催し、シニアの方々と地域でNPOやボランティアグループに参加している多様な方々と出会う場面を創ることで、活動の認知と関心を高めると同時に、シニアの社会参加意識を高めています。「こんな活動があったのか」「もっと早く知りたかった」など参加者から大きな反響があります。これをきっかけに障がい者向けのPC入力の会や音訳を学び始めた方、障がい児・者とのキャンプを企画する活動を始めた方もおられます。

その一方で、経営者協会や企業、社協等のシニアを取り巻く地域の団体向けに、元気に活動されているシニアや社会参加意欲のあるシニアの方の存在を知ってもらう「ネットワーク会議」という場を、それぞれの支部で年複数回開催することで、地域の方のシニアに対する意識を変えることにも取り組んでいます。

□ “人づくり”について

一般コースと専門コースの2コースを有するシニア大学という学びの場を設けています。一般コースは県内10支部にて月2回を2年間、公共の施設を使用して実施し、今年度は1000人が学んでいます。専門コースは本気で地域課題を解決したい方が約30名学んでいます。参加年齢は40代から80代。ここでは講義やワークショップを行うほか、特に大事にしているのが対話とフィールドワークです。

人生100年時代。ライフシフトを見据えて二足のわらじを履くことを目指す方が参加しています。シニアは仲間を作りたいと思っている方も多くいます。どんな人であっても居場所や出番がある豊かな二毛作社会を目指して、カリキュラムの作成やフィールドワークの支援を行なっています。

□ “仲間づくり”について

シニア大学では数人で構成される“生活班”というグループを作ります。生活班はプリント配布からグループディスカッションまで、カリキュラムを共に学ぶグループです。男女比、地域等を鑑みて、なるべく偏りが無いように考慮します。2年間のカリキュラムを通して学生同士の関係が深くなり、卒業後もその関係は維持され、一緒に旅行に出かけたり災害時でも助け合うようになりました。

とりわけグループ間で昼食を囲むことが仲間づくりの深化には欠かせないようです。シニア大学は終日のカリキュラムのため、途中で昼食を挟むことになりますが、その昼食の際にグループで食卓を囲み、信州ならではの漬物や果物を互いに持ち寄りながら、自然と賑やかな談話が生まれます。つまり、この対話こそが仲間づくりには欠かせないと感じています。

□ “コーディネートの仕組みづくり”について

これらの意識、人、仲間づくりが円滑に図れるよう、中間支援組織として行政や企業、教育機関など様々な団体とシニアをつなぐ取り組みを主体的に推進しています。行政や各種団体のニーズを踏まえつつも、現場のシニアの声を第一に考えています。単に両者をつなぐのではなく、シニアが自発的に選択・活動できる環境づくりや情報発信に努めています。私たちが目指していること、それは「寝たりきりになってもハンディがあっても、全てのシニアの居場所と出番がある豊かな二毛作社会を創ること」です。あらゆるシニアと、シニアを取り巻く各団体の声に耳を傾けながら、シニアの方々の活躍を下支えしています。

自発的な参加が長続きの秘訣

− コーディネートに取り組む上で重要なことは何でしょうか?

時々のニーズをつかむことと、各団体とシニアを対等につなぐことです。 前者について、各団体のニーズは待っていても来る訳ではありません。各団体に足繁く通い、雑談を通して情報交換を行いながらヒアリングを行います。団体が気づいていないことに気づいてもらうことも大事です。例えば教育委員会は当初シニアに何ができるかイメージできていませんでした。その一方で地域の方に入っていただきたい、ということに困っている。ではその地域の方で日中に時間のある方は誰か?と問うと、それがシニアであることに気づくのです。同時にシニア側の参画意識を確かめることも重要です。タウンミーティングやシニア大学でヒアリングを行い、多くの方が「大きなことはできないけど、人の役に立ちたい」と仰っていることを確認しました。

次いで後者について。各団体のニーズの拾い上げを通じて各団体が必要とするシニアが分かったとしても、ニーズを埋め合わせるための短絡的な斡旋をすることはありません。シニアは単なる労働力ではありません。あくまでシニアが自発的に選択するのであって、私たちはシニアが選択できる環境を整備することに専念しています。そうすることで、シニアを求める団体とシニアが対等な関係になり、その方が長続きするのです。このスタンスを各団体に理解していただき、互いに齟齬が生じないよう配慮しています。

このような取り組みを通じて企業と連携することもあります。例えば支部のタウンミーティングで、シニア層の就労を進めているコンビニエンスストアが出店するとシニアは関心を示します。そのニーズにを受けてコンビニエンスストアはレジ打ちの体験の場を提供してくれます。また大手薬局では店内に地域の方が活用できるフリースペースを設け、そこでシニアがお茶のみサロンを開くなどの連携事例もあります。このようにタウンミーティングを通じて企業とシニアをつなぐ場も提供しています。

さらにユニークなのは婚活アドバイザーとして婚活イベントの企画をシニアが企画する事例もあります。シニアにとって婚活は自分たちの子どもの結婚問題と関連付けて考える関心の高い活動の一つのようです。

地域での孤立化を防ぐ「おばちゃん力」

― これからは超高齢化社会です。シニア大学や長寿社会開発センターに参加するシニアが益々増えてきそうですね。

シニア大学の専門コースに通われるような、本気で活動したい方に加え、Iターンのシニア層からは関心が高いようです。縁も所縁も無い土地での人のつながりを求めていることが背景にあるのではないでしょうか。20~30代の若いIターンの方から、地域の方とつながりたいのでシニア大学に入学できないかと質問されたこともありました。SNSで簡単に繋がれる時代ですが、リアルなつながりを彼らも同様に求めているようです。

このような事例から感じるのは、希薄になった地域のつながりを再構築するためにも、コーディネート力を持った、いわゆる「おばちゃん力」を持った方がたくさんいると孤立せず居心地のいい地域になるのではないでしょうか。

−「おばちゃん力」とは何ですか??

地域や団体への関わりを上手に促すことができる、“イイ感じ”のお節介ができる能力です(笑)。例えば偶然何かの活動に参加した方がいるとします。その方にただ感謝するのだけではなく、「次はこんなイベントがあるから、こちらに参加してくれたら嬉しいな。」「お友達を連れてきてほしいな」というように、協力してもらえたら嬉しい理由を相手に伝えると、活動に参加してもらいやすくなります。このような能力を持った方々地域にいれば、地域の中でうまくつながりが生まれると考えています。

これは何も地域に限った話ではありません。私たちが取り組む人生二毛作社会の実現を支援するコーディネーションにおいても欠かせません。シニア、そしてシニアを取り巻く地域の各団体に対して参加を促していくために、おばちゃん力は大事なポイントなんです。

【インタビュアーより】 人生二毛作社会の実現に向け、シニアと、シニアを取り巻く各団体への地道な草の根活動を通じて、シニアの自発的な参加を促す、糸を紡ぐような丁寧なコーディネートに、本来のコーディネートのあり方を学ばさせていただきました。お忙しい中、長時間にわたりインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。 (2021.4.30@長野県長寿社会開発センター (株)ウィライ 浅田)

キーワード

#高齢化 #シニア #ボランティア #コーディネート #長寿開発センター #外郭団体

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